流体工学
流体工学目次
1.工場内パイプラインで発生する異常音・振動リスク回避
2.容器内の液面揺れ(スロッシング)リスク回避
1.工場内パイプラインで発生する異常音・振動リスク回避
流体工学の応用の1つの例として、講師のひとりが担当した工場内パイプラインで発生する異常音・振動リスク回避のための管内流れ、圧力波の検討について説明します。
・プラントの音・振動問題は、建設後の試験運転で初めて表面化することが少なくありません。
・配管内の流体系や、設置した機器とその支持構造における共鳴、自励振動等の特異な現象発生を防ぐ設計検討が不可欠であります。
(1)パイプラインで発生した異常音・振動の事例
(a)配管内の噴流音
(b)給水配管の過大振動
(2) 管内流れ、圧力波による異常音・振動リスク検討
(a)蒸気管の異常音リスク検討
・バルブ類、流量計の使用条件(流量・温度)把握
・流量の上限越えで異常音リスク
(b)給水管の過大振動リスク検討
・配管流れに運動量理論を適用し、流体力の値、作用位置、作用方向を予測
・配管路を圧力波が往復する時間より弁閉止時間を長くする
2.容器内の液面揺れ(スロッシング)リスク回避
(1)スロッシング現象が関わる問題の例
容器内の液面揺れ(スロッシング)は、糸で吊り下げた錘が揺れる現象と同じです。液入り容器を搬送・ハンドリングする装置・機構を設計する場合の検討項目となる。次に3つの例を示します。
(a) 紙パック飲料充填機/容器シール不良リスク (b) 地震による石油タンクの損傷、火災
・石油の揺れの流体力でタンクが破損
・石油がタンク外にこぼれ、火災が発生
(c) 加速中のロケット燃料タンクの液面揺動
・加速中のロケット燃料タンクの液面揺動
は、エンジンの安定燃焼*に関連
(開発完了したロケットでは解決済み)
(2)スロッシング回避の設計計算、シミュレーション
スロッシング回避のために次の机上検討を行います。
(a) 矩形、円筒容器のスロッシング周期を計算します(理論式)。矩形容器の例では次のようになります。
計算結果の例は次の通りです。 (b) スロッシング基本次数の波高値をばねマス系近似モデルでシミュレーションして計算